茨城県の県立高校入試について、保護者の方や中学生からよく聞かれる質問があります。

「結局、当日点で何点取れば合格できますか?」

もちろん、当日の学力検査の点数はとても大切です。
しかし、茨城県の県立高校入試は、単純に500点満点の当日点だけで上から順に合格者を決める制度ではありません。

特に共通選抜では、受検生をいったんA群B群に分けて判定します。

このA群・B群のしくみを理解していないと、「当日点が高ければ内申は関係ない」「内申が悪いと絶対に無理」「何点以上なら必ず合格」といった、少し乱暴な見方になってしまいます。

この記事では、茨城県立高校入試の合否判定のしくみを、具体例を交えながらわかりやすく整理します。

※入試制度は年度によって変更される可能性があります。実際の出願・受検にあたっては、必ず茨城県教育委員会や各高校の最新資料をご確認ください。

茨城県立高校入試は「当日点だけ勝負」ではない

茨城県立高校入試の共通選抜では、主に次の資料を使って合否を判定します。

判定に使う資料 内容
学力検査 国語・社会・数学・理科・英語の5教科の得点合計。
調査書 中学校での各教科の学習の記録、特別活動、部活動、諸活動などの記録。

ここで重要なのは、学力検査の点数と調査書を単純に足し算して、合計点の高い順に合格者を決めるわけではない、という点です。

茨城県の共通選抜では、まず受検生をA群B群に分けます。

簡単に言えば、A群は「学力検査も調査書も一定の条件を満たしている受検生」です。
A群に入った受検生は、原則として合格になります。

そして、A群に入らなかった受検生はB群に入り、残りの合格枠をめぐって、さらに選抜されます。

まず「共通選抜で何人合格させるか」を考える

A群・B群の判定を理解するには、まず「共通選抜で何人合格させるのか」を考える必要があります。

たとえば、ある高校の募集定員が120人だとします。

そのうち特色選抜で20人が合格したとします。

すると、共通選抜で合格させる人数は、次のようになります。

120人 − 20人 = 100人

この場合、共通選抜では100人を合格させることになります。

この「共通選抜で合格させる人数」が、A群・B群を分けるときの基準になります。

なお、実際の制度では、特色選抜だけでなく特例入学者選抜枠などを差し引いて考える場合があります。
ここでは説明をわかりやすくするために、共通選抜枠が100人の場合で考えます。

A群に入る条件

共通選抜で合格させる人数が100人の場合、A群に入る条件は次のようになります。

学力検査の順位が80位以内

かつ、

調査書の評定合計の順位が100位以内

この両方を満たした受検生がA群になります。

ここで大切なのは、「どちらか一方」ではないという点です。

学力検査の順位だけがよくても、調査書順位が基準から外れていればA群には入りません。
逆に、調査書順位がよくても、学力検査順位が80%以内に入っていなければA群には入りません。

具体例で見るA群・B群

共通選抜枠が100人の場合で、具体的に考えてみましょう。

生徒 学力検査順位 調査書順位 判定
Aさん 60位 70位 A群
Bさん 75位 95位 A群
Cさん 82位 40位 B群
Dさん 50位 110位 B群
Eさん 90位 120位 B群

Aさんは、学力検査順位が80位以内で、調査書順位も100位以内です。
したがってA群に入ります。

Bさんも同じです。
学力検査順位が75位、調査書順位が95位なので、A群に入ります。

一方で、Cさんは調査書順位が40位で非常に良いですが、学力検査順位が82位です。
共通選抜枠100人の場合、学力検査順位は80位以内に入る必要があるため、CさんはA群には入りません。

Dさんは、学力検査順位が50位なので当日点はかなり強いです。
しかし、調査書順位が110位なので、A群には入りません。

このように、A群は当日点も強く、調査書も基準内に入っている受検生のグループです。

A群は原則として合格になる

A群に入った受検生は、原則として合格になります。

たとえば、共通選抜枠が100人だとします。

その中で、学力検査順位80位以内、かつ調査書順位100位以内という条件を満たした受検生が70人いたとします。

この70人がA群となり、原則として合格になります。

すると、共通選抜で合格させる人数は100人ですから、残りの合格枠は次のようになります。

100人 − 70人 = 30人

この残り30人を、B群の中から選ぶことになります。

つまり、A群に入れなかったからといって、そこで即不合格になるわけではありません。

A群に入れなかった受検生はB群に入り、残りの枠をめぐって、さらに判定されます。

B群は「学力検査重視」と「調査書重視」で選ばれる

B群の選抜では、残りの合格枠を、次の2つの方法で決めます。

  • 学力検査の結果を重視した選抜
  • 調査書の記録を重視した選抜

この2つの比率は、高校ごとに定められています。

比率は、20:80、30:70、40:60、50:50、60:40、70:30、80:20の中から各高校が決めます。

たとえば、B群から残り30人を合格させる高校があるとします。

その高校のB群選抜の比率が、次のように設定されていたとします。

学力検査重視:調査書重視 = 60:40

この場合、30人の枠は次のように分かれます。

選抜方法 人数
学力検査重視 18人
調査書重視 12人

つまり、B群の中から、学力検査の結果を重視して18人、調査書の記録を重視して12人が合格する、という形になります。

B群でも合格の可能性はある

先ほどの例に戻って考えてみましょう。

共通選抜枠100人。
A群で70人が原則合格。
残り30人をB群から選ぶ。
B群の比率は、学力検査重視18人、調査書重視12人。

このとき、B群の生徒は次のように考えることができます。

生徒 学力検査順位 調査書順位 見方
Cさん 82位 40位 調査書が強い。調査書重視の枠で可能性がある。
Dさん 50位 110位 当日点が強い。学力検査重視の枠で可能性がある。
Eさん 90位 90位 両方そこそこ。B群内の競争次第。
Fさん 130位 20位 調査書は強いが、当日点が低く厳しくなりやすい。
Gさん 70位 150位 当日点は強いが、調査書が弱い。学力検査重視の枠頼みになる。

Dさんは、調査書順位が110位なのでA群には入りません。
しかし、学力検査順位は50位です。

当日点がかなり強いため、B群の学力検査重視の枠に入る可能性があります。

つまり、内申や調査書が少し弱くても、当日点が強ければB群で合格する可能性があります。

一方で、Cさんは学力検査順位が82位なので、A群の基準から少し外れています。
しかし、調査書順位は40位です。

この場合、B群の調査書重視の枠に入る可能性があります。

つまり、当日点がA群基準に少し届かなくても、調査書が強ければB群で合格する可能性があります。

ただし、一番安全なのはA群に入ること

ここまで見ると、「B群でも合格できるなら、B群狙いでもよいのではないか」と思うかもしれません。

しかし、受験指導上は、B群での逆転を最初から狙うより、A群に入ることを目指すほうが安全です。

共通選抜枠が100人なら、

  • 学力検査順位80位以内
  • 調査書順位100位以内

この両方を満たすことがA群の条件です。

共通選抜枠が200人なら、

  • 学力検査順位160位以内
  • 調査書順位200位以内

この両方を満たすことが目安になります。

A群に入るには、学力検査でかなり上位に入る必要があります。
一方で、調査書についても、少なくとも合格枠内に入る程度には整えておく必要があります。

つまり、茨城県立高校入試では、当日点だけを見ても不十分です。
かといって、内申だけで決まるわけでもありません。

当日点でA群に入れるだけの力をつけること。

同時に、調査書でA群から外れない状態を作ること。

この両方が大切です。

「何点取れば合格ですか?」が難しい理由

茨城県立高校入試でよくある質問に、「何点取れば合格できますか?」というものがあります。

この質問に対して、単純に「何点以上なら大丈夫」と答えるのは難しいです。

なぜなら、A群・B群の判定では、点数そのものだけでなく、基本的に順位が大きく関わるからです。

たとえば、同じ350点でも、ある年には学力検査順位70位になるかもしれません。
別の年には90位になるかもしれません。

問題が難しい年、易しい年。
志願者の学力層が厚い年、薄い年。
倍率が高い年、低い年。

これらによって、同じ点数の意味は変わります。

したがって、本当に大切なのは、単に「何点か」だけではありません。

その高校を受ける受検生の中で、どのくらいの順位に入れるか。

ここを意識する必要があります。

特色選抜で不合格でも、共通選抜で改めて判定される

茨城県立高校入試には、共通選抜のほかに特色選抜があります。

特色選抜は、文化活動、芸術活動、体育活動、奉仕活動、生徒会活動など、学校ごとの基準に応じて行われる選抜です。

ただし、特色選抜で合格にならなかった場合でも、それで受験が終わるわけではありません。

特色選抜で合格とならなかった受検生は、特色選抜に出願しなかった受検生と一緒に、共通選抜で改めて判定されます。

そのため、特色選抜を受ける場合でも、共通選抜で戦える学力をつけておくことが大切です。

受験勉強として何を重視すべきか

茨城県立高校入試のしくみをふまえると、受験勉強で大切なのは、次の2つです。

第一に、学力検査でA群に入れるだけの実力をつけることです。

共通選抜枠が100人なら、学力検査順位80位以内がA群の条件になります。
つまり、当日点はかなり重要です。

普段の定期テストだけでなく、実力テスト、模試、過去問演習を通して、初見の問題に対応できる力をつける必要があります。

第二に、調査書を軽く見ないことです。

当日点が強くても、調査書順位が基準から外れるとA群には入れません。

そのため、中学校の定期テスト、提出物、授業態度、日々の学習への取り組みも大切になります。

もちろん、調査書のためだけに勉強するわけではありません。
しかし、学校の学習を軽く見てしまうと、A群判定で不利になる可能性があります。

まとめ:茨城県立高校入試はA群・B群のしくみを理解することが大切

茨城県立高校入試の共通選抜は、当日点だけで上から順に決まる制度ではありません。

まず、学力検査順位と調査書順位をもとに、受検生をA群とB群に分けます。

A群に入った受検生は、原則として合格になります。

A群に入らなかった受検生はB群に入り、残りの枠を、学力検査重視と調査書重視の2つの方法で選抜されます。

一言でまとめると、茨城県立高校入試の共通選抜は、次のようなしくみです。

まず、当日点と調査書の両方がそろっている受検生をA群として原則合格にする。

そのあと、A群に入らなかった受検生をB群として、残りの合格枠を学力検査重視と調査書重視に分けて選ぶ。

だからこそ、受験勉強では、当日点だけを見ても不十分です。
調査書だけを気にしていても不十分です。

安全に合格を目指すなら、まずA群に入ることを目標にする。

そのために、日々の学校の学習を大切にしながら、入試本番で点を取れる実戦力を育てていく。

これが、茨城県立高校入試に向けた基本的な考え方になります。