勉強時間より大切なのは、何回くり返したか
勉強をするとき、まず目につきやすいのは時間です。
今日は3時間勉強した。
昨日は2時間しかできなかった。
たしかに、勉強時間を確保することは大切ですが、時計の針を見ただけでは勉強の中身までは分かりません。
勉強を「量」で測ったものが時間だとすれば、勉強を「質」で測るものは、手を動かして暗記をした回数や頻度です。
「3時間勉強した」という事実があると、それだけで少し安心してしまいます。
しかし、ただ3時間という学習時間の長さに満足して、机から離れてしまうのは非常に危険なことです。
その3時間をどんな風に使ったのかがあいまいなままでは、本当に力がついたのかどうか分かりません。勉強を終わらせる前に、その時間で何を何回くり返したかを見る必要があります。
暗記は、1回に長い時間をかけてじっと眺めるよりも、短い確認を何度も重ねることで強くなります。
覚えたことをいつまでも忘れない暗記とは、単純に「より多くくり返された暗記」のことです。
何度見ても覚えられない数学の公式や、スペルの長い英単語。
これらも、じっと10回見つめただけではなかなか覚えられませんが、隠してパッと答えるテストを2日で50回も行えば、ほぼ100%覚えられます。
だからこそ、英語の単語や理科・社会の重要事項は、「何時間やったか」ではなく、「何周できたか」で管理するとよいのです。
3時間の間に、4周できたのか。
それとも2周しかできなかったのか。
そこまで踏み込んで、日々の学習を記録します。
反復回数を数え始めると、勉強のやり方が変わります。
すでに自力で解けるものには丸をつけ、まだ解けないものにはバツをつけて、バツの問題だけを抜き出して勉強できるようになるからです。
全部を同じペースで眺める必要はなくなり、覚えていないものだけに絞って効率よく回せるようになります。
同じ時間の中でより多く回そうとすると、自然にページをめくるスピードと勉強の密度が上がります。
「今は3時間で2周しかできないから、何とか3回行えるように手を動かすスピードを上げよう」
そうやってタイマーを横に置いて取り組むことが、新たな学習意欲を生み出してくれます。
ここで一つ、知っておいてほしいことがあります。
東大をはじめとした難関大学に合格する人の中には、勉強時間が極端に少ない人がたまにいます。
参考書に書いてある図や説明の文章を、そのまま映像として覚える「映像記憶」の持ち主たちです。
たしかに彼らのような天性の記憶力の持ち主は存在しますが、それはあくまで例外です。
そういった才能がなくても、少ない勉強時間で東大に受かるような人がいます。
彼らは、決して努力をしていないわけではありません。単純に、問題を見て、解いて、答え合わせをして、解き直すまでの「1回あたりの作業スピード」が速いのです。
少ない勉強時間で偏差値70を取る人は、「暗記が得意だから、少ないくり返しで覚えられる」というわけではありません。
彼らもまた、普通の人間と同じように10回、20回とくり返さなければなかなか覚えられません。
ただ、その「くり返し1回あたりにかかる時間」が短いのです。
では、まだ作業が速くない子はどうすればよいのでしょうか。
まずは、勉強時間を増やすことで何とか対応します。机に向かう時間をしっかり確保し、その中で反復回数を少しずつ増やしていけばよいのです。
普通の人も、できるだけ1周にかける時間を短くし、たくさんの回数、反復学習を行うようにする。そうすれば成績は大きく上昇します。
勉強時間というものは、外から見えやすく、分かりやすい数字です。
しかし、実際に成績を動かすのは、その時間の中で実際にくり返した作業の回数なのです。
学力を上げるためには、ただ机の前に座って時間をやり過ごすのではいけません。
確保した時間を、単語を隠してテストする回数、答えを隠して解き直す回数へと変えていくこと。
これが、質の高い勉強を作るための最も確実な手順なのです。