ケアレスミスは「脳の疲労」が原因

勉強をしていて、
「なぜか問題文を読み違えてしまう」
「計算ミスやケアレスミスが多い」
そんな経験は、多くの生徒に共通するものです。

一般には、

勘違いやケアレスミスは実力不足の証拠
実力がつけば自然と減る

と考えられがちです。

確かに、学力が向上すればミスは減ります。
しかし、私が塾で多くの生徒を指導してきた経験から言えば、勘違いやケアレスミスの根本原因は、必ずしも実力不足ではありません。

その正体は、精神的な疲労です。

精神的な疲労が注意力を奪う

精神的な疲労が蓄積すると、脳の働きは確実に鈍ります。
その結果、

  • 問題文を正確に読み取れない

  • 条件を見落とす

  • 普段しない計算ミスをする

といった現象が起こります。

しかも厄介なことに、精神的な疲労は自覚しにくいのです。
特に、ある活動が原因の場合、その疲労には気づきません。

その代表例が、テレビゲームやスマホのゲームアプリです。

事例①:学力の高い中1男子に突然起きた異変

私の塾に通っている、中学1年生の男子生徒の話です。

この生徒は全体的に学力が高く、特に数学の理解力と応用力が抜群でした。
県立の上位高校を目指しており、中1の夏にはすでに3学期の空間図形を先取りしていました。

普段は、

  • 問題文の読み違いはほぼゼロ

  • 計算ミスもほとんどなし

という生徒です。

ところが、祝日の月曜夜の90分授業で、
10回以上の勘違いやケアレスミスを連発し、
学習量も普段の半分以下になりました。

眠そうでもなく、体調不良でもありません。
本人も「今日はおかしい」と首をかしげていました。

そこで、昼間の過ごし方を聞いてみると──
3連休だったその日、朝9時から夕方5時まで、PS4でテレビゲームをやり続けていたというのです。
前日の日曜も、6時間ほどゲームに没頭していたそうです。

事例②:小5女子の成績低下とゲームアプリ

もう1つは、中学3年生の女子生徒が小学5年生だった頃の話です。

その生徒はディズニーが好きで、
ミッキーマウスが登場するスマホのゲームアプリを始めました。

  • 平日:2〜3時間

  • 休日・祝日:ほぼ1日中

両親は、そこまで夢中になっていることに気づいていませんでした。

しかし、小5になってから、

  • 不注意なミスが急増

  • テストの成績が低下

し、「塾に通わせれば何とかなるかも」と私の塾に来たのです。

転機は、偶然訪れました。
スマホが壊れ、ゲームデータが全消去されたのです。

そのアプリには、非常にレアなアイテムが入っていましたが、
もう一度最初からやる気にはなれず、ゲームをやめました。

するとどうなったか。
勉強時間はほとんど変わらないのに、ミスが激減し、成績が大きく伸びたのです。

注意力は「有限の資源」である

これらの事例から、私はこう考えています。

人の注意力には、1日で使える量の上限がある。

仮に、

  • 朝起きた時の注意力を「100」とします

  • 人によって60の人もいれば、150の人もいます

注意力は、

  • 勉強

  • 遊び

  • 運動

  • 仕事

  • 歩くだけでも

あらゆる活動で消費されます。

1日の終わりに注意力が30まで減っていれば、その日は70消費したということです。
睡眠によって回復し、翌朝また100に戻る──本来はそういう仕組みです。

ゲームは注意力の消費が異常に大きい

テレビゲームやスマホゲームは、注意力の消費が非常に大きい活動です。

理由の1つは、視覚への強烈な負荷です。

  • 画面を凝視し続ける

  • 多数のキャラクターや動きを瞬時に処理する

  • 反射的な判断を繰り返す

視覚を酷使した精神的疲労は、非常に大きいにもかかわらず、
ゲームは楽しく刺激的なため、疲労に気づきにくいのです。

その結果、

  • 自覚のないまま注意力を使い切る

  • ひどい場合、使いすぎて「マイナス」になる

翌朝になっても完全には回復せず、
注意力85くらいから1日が始まることもあります。

勘違い・ミスを減らすためにできること

理想は、

  • ゲームをやらない

  • ゲームの時間を減らす

ですが、現実的には簡単ではありません。

そこで私が勧めているのは、「寝る」という選択です。

ゲームをやりすぎて注意力が減った状態で勉強しても、

  • 集中できない

  • ミスが増える

  • 効率が極端に悪い

それなら、思い切って寝て、注意力を回復させるほうがはるかに合理的です。

  • 平日なら、そのまま翌朝まで

  • 休日なら、1時間ほどの昼寝

その後に勉強したほうが、結果的に成果は出ます。

やってはいけない「気分転換」

最後に、絶対に避けてほしいことがあります。

それは、

ゲームで疲れた → 漫画や友達と遊んで気分転換 → 勉強

という流れです。

漫画や友達との遊びも、程度の差はあれ注意力を消費します
気分は切り替わっても、勉強に必要な注意力は回復しません。

勉強に必要なのは「気分」ではなく、注意力そのものです。

勘違いやケアレスミスが続くとき、
「実力が足りない」と自分を責める前に、
脳が疲れていないかを一度、疑ってみてください。

それだけで、学習の見え方は大きく変わります。