2021年の茨城県の県立高校の入試問題の特徴
2020年の茨城県立高校の入試問題では数学の問題の構成と内容、社会の問題構成と内容に大きな変更がありました。英語では英問英答がくわわりました。これは英作文系統の問題が増えたということになります。理科は問題文の実験や観察の説明量が増えました。2019年までの入試と傾向が大きく変わったわけです。
2021年の茨城県立高校の入試問題は、2020年の変更が継続されるかどうか注目すべき点でした。結果は、国語で韻文が出題されていなかったものの、。全体としては2020年の入試問題のパターンが継承されたようでした。
茨城県立高校の入試は国語が得意な受験生が有利
茨城県立高校の入試は、国語が得意な受験生が2つの点で有利となっているようです。
その1つは、受験生全体の学力の低下によるものです。この数年、スマホを所持する中学生が増加するに併せて、生徒間の学力の2極化が進んできました。学力が上位層の生徒達の学習時間は減っていませんが、学力が中位以下の層の生徒達の学習時間はかなり減っています。
そして今年度はコロナによる長期休校もあったためか、学習時間の少なさ、学習量が不足していることが要因での学力低下は、偏差値60程度の生徒にまで及んでいると思われます。高校ランクでいえば県北・県央地区の高校に限れば、水戸一高、緑岡高、日立一高を除く全ての高校では受験生の学力低下が現れていると思われます。昨年までなら合格に届かなかった学力の受験生も今年は届いたというわけです。
学力の不足している受験生達の選抜で有利になってくるのが国語です。国語は、勉強をさほどしなくても高い得点をとる生徒はいます。一方、どうにも国語の点数が上がらない生徒や、点数が良いときと悪いときの差が大きいという生徒もいます。学力不足が原因で、国語を除く4教科の得点が似たり寄ったりならば、たいして努力をしないでも国語で高得点をあげられる生徒の方が有利です。
昨年度は佐和高校や勝田高校あたりまでは、そういった傾向がありましたが、今年度は水戸桜ノ牧高校や水戸二高や日立北高校までその傾向が及んだように思われます。国語が得意ならばワンランク上の高校を狙えるということです。
もう1つは、すべての教科で、文章の処理能力の高低が問われるようになってきたということです。
文章の処理能力というのは、文章を読んで書かれている内容を正しく理解できるかどうか、理解しながらそれらを整理できるか、全体と要点のどちらもを把握できるか、そしてこれらのことを速く行えるかの能力です。
従来の入試問題は知識の多寡を競うものでした。それが思考力を問う比重が増えてきました。そして、少子化と県立高校を受験しない生徒の増加によって、高校側に受験での試験答案を採点する時間的な余裕が生じました。それが、思考力を問うタイプの問題のさらなる増加につながったのだと思われます。
この思考力を問うというのが実は、文章の処理能力を問うことと同じなのです。数学、理科、社会、国語は日本語での文章処理能力の高低を測り、英語では英語での文章の処理能力の高低を測る作りになっています。
思考力といのは数的思考力と言語的思考力の2つがあります。中学校の数学は大した内容を学習していないので、中学校のを学習内容で問題を作成して数的思考力を測るというのは限界があります。それで、数学ですら、思考力を測るのに言語的思考力の高低を測ることになってくるのです。
入試問題が、どの教科でも文章の処理能力=言語的思考力の高低を測る作りになっているわけですから、どの教科でも国語が得意な生徒が国語が得意ではない生徒に比べて有利なのは当然です。