茨城県の県立高校入試の合格不合格判定のしくみ

茨城県の県立高校入試の合格不合格判定のしくみ

茨城県の県立高校入試には、一般選抜と特色選抜の2種類があります。
特色選抜というのは、文化、芸術、体育などの分野で優れた資質や実績を持つ中学3年生を対象とした試験です。各高校が選抜の基準を自由に設けることができます。推薦入試と類似したものです。

一般選抜は通常の入学試験です。こちらは、調査書と学力検査(入学試験)の2つを材料にして合格不合格の判定を行います。一般に高校入試といえば、こちらの一般選抜をさします。

ここでは、一般的な高校入試である一般選抜の合格不合格の判定のしくみを説明します。また、調査書については、後ほど詳しく説明します。

一般選抜での合格不合格の判定は、A群選抜とB群選抜の2段階選抜になっています。この2段階選抜の流れは、最初にA群選抜で合格者を決め、A群選抜で合格が決まらなかった者を、B群選抜で決めるというものです。
初めのA群選抜での決定の仕方は、(1)学力検査の総得点の順位が、募集定員数の上位80%以内に入っている、(2)調査書の評定の3年間の合計の順位が、募集定員数の上位100%以内に入っている、この(1)と(2)の両方の基準をどちらもクリアしている者を原則として合格とします。



次に、A群選抜で合格の条件を満たしていない生徒に対してB群選抜が行われます。
B群選抜は、各高校が学力検査重視で合格させる生徒と調査書重視で合格させる生徒の比率を任意で選択することができます。

その人数比率は「学力検査重視:調査書重視」で、20:80、30:70、40:60、50:50、60:40、70:30、80:20のいずれかです。これらの中から各高校が任意に選択します。

例として、数字を設定して説明します。K高校の募集定員が一般選抜で200名だとします。これに対して志願者が250名とします。合格不合の倍率は1.25倍です。そして、A群選抜で合格が決定したのが150名とします。募集定員200名-A群選抜での合格者150名ですので、50名の合格者をB群選抜で決定しなければなりません。このK高校では「学力検査重視:調査書重視」の人数比率を40:60にしているとします。ですので、B群選抜での50名の合格者数の振り分けは、学力検査重視での合格者数を50名×40/100=20名、調査書重視での合格者数を50名×60/100=30名となります。

B群での学力検査重視の合格者と調査書重視の合格者のそれぞれの決め方は、次の2通りがあります。1つめは合格が決定していない、志願者250名-A群選抜での合格者150名の残りである、合格が決定していない100名を学力検査の得点順に並べ、そのうち上位20名を学力検査重視での合格者とする。次に、その100名のうち、B群での学力検査重視での合格者20名を除いた80名を調査書の評定合計順に並べ、上位30名を調査書重視の合格者とするものです。2つめは、1つめの学力検査重視での合格者を決めたあとに、調査書重視での合格者を決めるという順番を逆にしたもの、すなわち調査書重視での合格者30名を100名の中から合計順で決め、残りの70名から学力検査重視で20名決めるというものです。

B群選抜の基本はこうですが、茨城県の教育委員会が、中学校時代の部活動の活動内容は合格不合格の判定の資料として扱うと県の公式のサイトで公表しているので、中学校時代の部活動や学校外のクラブ活動、特技、資格、なども合格不合格の判定の要素として組み込まれ、総合的に合格不合格を決めていると考えられます。



ところで、調査書ですが、これはあゆみや通知表と呼ばれているものです。調査書の総得点は135点になります。これは中学1年生の学年評定45点、中学2年生の学年評定45点、中学3年生の学年評定45点の合計です。中学3年生の学年評定は、3年生が通知表として知ることができるのは3学期終了時ですが、県立高校には1月末段階での学年評定が提出されます。そのため、中学3年生の学年末の定期考査は3学期開始直後に行う学校が多くあります。また、ABCの評価がなされる観点別学習状況については中学3年生のものだけが記載され、合格不合格のボーダー上にある場合、判定の材料に使われます。

最後に、茨城県の県立高校入試は学力検査の得点が調査書の得点よりも重要になる傾向が強いです。なぜなら、B群選抜での学力検査重視と調査書重視の比率は、80:20を選択する高校が多数だからです。A群選抜で学力検査の順位が上位80%以内に入っていながら調査書が上位100%に入らず、B群選抜にまわったとしても、そのB群選抜で学力検査重視の比率が80:20だった場合、調査書の成績がどんなに低くても、学力検査がB群の上位80%に入っていれば合格となるからです。