オリンピック・女子マラソンの金メダリスト高橋尚子の指導者である小出義雄監督は、かつてこんなことを言っていました。

人にはそれぞれ良いところがある。それを見つけて、褒めて、夢を持たせることが大事だと。

この言葉は、きれいごとのようにも聞こえますが、実際にやろうとすると、なかなか難しいものだと思います。

うまくいっているときに褒めるのは、誰でもできる。問題は、そうでないときです。

勉強が進んでいないとき。気持ちが乗っていないとき。やるべきことから離れているとき。

そういう場面でも、その人の中にあるものを見る。そして、そこに言葉をかける。

それを続けていくと、少しずつ変化が出てきます。

すぐに結果が出るわけではありません。それでも、どこかで「自分は大丈夫かもしれない」と思える瞬間が生まれる。

夢というと、大きな目標のように聞こえますが、ここでいう夢は、明るい未来が自分には来ることを当然のこととして思い描き、そこに楽しい何かを描くということです。

それがあると、人は少し変わります。

今うまくいっていなくても、どこかでつながっていく気がする。少しやってみようと思える。完全にやめてしまうことがなくなる。

見ていると、変化は急に起きるのではなく、こうした感覚が先にあって、あとから行動がついてくるように思います。

褒めるというのは、評価することではなく、その人の中にあるものを見つけることなのかもしれません。