善意ほど、子どもを追い詰める

「ちゃんと考えたら分かるでしょ」
「前にも同じこと言ったよね」
「なんでこんな簡単なミスをするの」

親としては、ごく自然に出てくる言葉です。悪意はありません。むしろ、子どもの成長を願う善意からの言葉です。

しかし、塾や学校現場で多くの子どもを見てきた立場から言うと、**学習意欲を長期的に壊しているのは、こうした“無意識の一言”**です。

本記事では、親がやりがちなNG声かけを整理し、なぜそれが子どもの学習意欲を奪うのかを解説します。

NG①「能力評価」を含む声かけ

  • 「あなたは本当は頭がいいんだから」

  • 「能力はあるのに、もったいない」

一見、褒め言葉ですが、子どもにとっては能力を固定化するメッセージになります。

結果として子どもは、

  • 失敗=能力がない

  • 頑張らなければ評価は下がる

と感じ、挑戦を避けるようになります。
努力量も減ってしまいます。

NG②「比較」を含む声かけ

  • 「○○くんはできているのに」

  • 「前はもっとできていたよね」

  • 「兄(姉)のときは…」

比較は、短期的には行動を変えることがありますが、長期的には自己肯定感を削り続けます。

特に危険なのは過去の自分との比較です。

昔できた=今できない自分は劣化した
努力しても戻らないかもしれない

こうした感覚を子どもに植え付けてしまいます。

NG③「正論」で詰める

  • 「勉強しないと将来困るよ」

  • 「今やらないと後で大変になる」

論理的には正しい言葉ですが、子どもにとっては逃げ場のない脅しになります。

正論は、子どもの感情の余地を奪います。
すると、子どもは「考える」前に「守る」モードに入ってしまいます。

NG④「分かったつもり」の共感

  • 「その気持ち分かるよ」

  • 「みんな同じだから」

これは本当の共感ではなく、子どもの感情を上書きする行為です。

結果として、子どもは「分かってもらえなかった」と感じ、心を閉ざします。

NG⑤「努力を管理する」声かけ

  • 「どれくらい勉強したの?」

  • 「今日は何ページやった?」

努力を数値で管理されると、子どもは

  • 親のためにやる

  • 怒られないためにやる

という状態になってしまいます。

では、何と言えばよいのか

基本はたった一つです。

評価しない。理由を言わない。感情だけを出す。

  • 「心配している」

  • 「悲しい」

  • 「嬉しい」

それだけで十分です。

おわりに──沈黙も、立派な声かけ

何も言わないことが、最善の声かけになる場合もあります。

親が価値観を示し、共感を土台にし、余計な言葉を減らしたとき、子どもは静かに、自分の意思で動き始めます。