勉強法

有酸素運動は脳の働きを良くする

この数年、強く言われるようになってきたのが、有酸素運動と脳の働きの関係です。
有酸素運動をすると、酸素がたっぷり含まれた血液が脳に送られるので、脳の働きが良くなるというものです。これは脳生理学のさまざまな学者が言っており、学者らの主張の通りである事例もいくつもあります。
ここで特に注意するのは、運動の中でも有酸素運動の効果が特に高いということです。
運動は大きく分けて有酸素運動と無酸素運動の2種類があります。有酸素運動は、十分に呼吸をしながら行う運動です。代表的なものにジョギング、ウオーキング、水泳、エアロビクスダンスなどがあります。有酸素運動は、体内にとりいれた酸素によって、体内に蓄えられた脂肪や糖分を燃焼させ、エネルギーを作ります。脂肪や糖分を燃やすので、有酸素運動はダイエットの効果が高いです。
無酸素運動は、酸素を体内にほとんど取り入れずに行う運動です。短時間の運動がこれになります。代表的なものは、筋力トレーニング、重量挙げ、短距離走などです。呼吸をせずに、短い時間で大きな力を発揮し、エネルギーを消費するという特徴があります。体内の脂肪や糖分は使わないで、筋肉の成分であるグリコーゲンを消費します。
ところで、運動をするとき、脳は必ず活動をします。脳が何らかの指令を体の筋肉に発するから、体が動くわけですから当然のことですよね。そして、有酸素運動をするときと無酸素運動をするときでは、脳が活動する場所が異なります。この活動する場所の違いが重要になってくるのです。有酸素運動のときに活動する場所は、本を読んで内容を理解するときや、計算をするときに活動する脳の場所と同じなのです。無酸素運動で活動する場所は、本を読んで内容を理解するときや計算をするときに活動する脳の場所とは異なります。すなわち、有酸素運動と読書や計算とは、脳の同じ場所を使うため、有酸素運動によって脳は生き生きと働くことになるのです。
そのため、ジョギングやウォーキングといった、呼吸をしっかりする運動を行い、脳の働きを活発にした後で勉強を始めると、勉強がはかどり、理解や暗記も十分になされるということなのです。
この有酸素運動は、運動神経は関係ありません。また、走るのがめんどうな人は、やや速く、息を大きく吸い、吐くぐらいの負荷で歩くだけでも十分です。30分ほど歩くのが理想です。学校からまあまあの速さで帰ってきた後、すぐに宿題をやると、宿題がテンポよく片付くでしょう。自転車通学の人も、自転車は有酸素運動になるので大丈夫です。
少し詳しく述べると、有酸素運動をすると、脳が、脳由来神経栄養因子という成分をたくさん作ります。そして、この因子の働きによって、脳の神経細胞や、脳の神経細胞に栄養や酸素を送る血管が作られるのです。また、有酸素運動は脳の器官である海馬も大きくします。海馬は、記憶をつかさどるので、この海馬が大きくなると記憶力もよくなるのです
有酸素運動は、全身を動かす種類のものがよいです。なぜなら、体全体を動かす有酸素運動は、それだけ脳が体全体に指令を出すわけですから、脳をより多く使うことになるからです。そうした運動には、エアロビクスダンスや空手の形などがあります。
有酸素運動と脳の働きの関係についてのこうした研究を知らなかったけれども、勉強と運動をつなげて行ってきた高学歴の著名人は多くいます。
オリエンタルラジオの中田敦彦さんは慶應義塾大学の出身ですが、大学の受験勉強では、部屋の中を歩きながらテキストを音読して、重要事項を暗記したそうです。東京大学出身で明治大学教授の齋藤孝教授は、東京大学への受験勉強のときは、部屋で合気道の型をやりながら暗記したそうです。齋藤教授は合気道の有段者です。iPS細胞でノーベル賞を受賞した山中教授は、大学時代はラグビー部所属して、運動に打ち込んだそうです。ノーベル賞をとるまでは、大学での研究費がいつも不足していたため、募金を求めて京都フルマラソンに参加し、完走したそうです。今でも昼休みは欠かさずジョギングをするそうです。ロザンの宇治原は京都大学の出身ですが、暗記のときは部屋の中を歩きながら覚えたそうです。
部屋から外に出て、街中を歩きながら何かを暗記するというのは、自転車や他の歩行者にぶつかる危険もあるので、よしたほうがいいでしょう。部屋の中で体を動かしながら暗記するというのがいいですね。
けれども、街中でもできることはあります。地頭を鍛えるのがそれです。地頭がよくなると、暗記が得意になったり、思考力が高まったりします。
これを紹介しているのは天明麻衣子さんです。街中を歩いていて、見かけたものと関連するものを思い出すことによって、思い出し方が上手になり、暗記力も高まるというのです。たとえば、ひまわりの花を見かけたら、ひまわりは被子植物?双子葉類?
維管束の形は?などと勉強と関連することを思い出そうとするのです。そのときは思い出せなくても、あとでテスト勉強なりで、被子植物について書かれた部分を見たとき、暗記がスムーズにいくというものです。車のナンバープレートの数字を使って計算問題を作り、それを高速で解くというのも、地頭を作るのにはよいです。けれども、周囲のものにたいして注意力をなくすほど集中しないように気をつけるのは大切ですね。