国語のテストや入試問題で「敬語」が出ると、「難しそう」と感じる人も多いかもしれません。

しかし、敬語は感覚だけで解くものではありません。基本はとてもはっきりしています。

その動作をしているのは誰か。

ここを見抜ければ、尊敬語・謙譲語・丁寧語の区別はかなり解きやすくなります。

高校受験では、敬語の種類を選ぶ問題、正しい敬語に書き換える問題、間違った敬語を直す問題がよく出ます。敬語はルールを覚えれば、安定して点数が取れる分野です。

尊敬語とは何か

相手や目上の人の動作を高める言葉

尊敬語は、相手や目上の人の動作・状態・持ち物などを高める言葉です。

たとえば、先生、校長先生、先輩、お客様などの動作に使います。

大切なのは、主語です。

尊敬語の主語は、基本的に目上の人や敬意を表す相手です。

たとえば、次のような文を見てみましょう。

  • 先生が話す。
  • 校長先生が来る。
  • お客様が見る。

このように、動作をしている人が「先生」「校長先生」「お客様」なら、尊敬語を使う場面です。

尊敬語の作り方

尊敬語には、主に3つの作り方があります。

1. 動詞に「れる・られる」をつける

例を見てみましょう。

  • 先生が話す。
    → 先生が話される
  • 校長先生が来る。
    → 校長先生が来られる

ただし、「れる・られる」は、受け身や可能の意味でも使われます。そのため、入試では文の流れを見て、尊敬の意味かどうかを判断する問題が出ることがあります。

2. 「お・ご」+動詞+「になる」

例を見てみましょう。

  • 先生が本を読む。
    → 先生が本をお読みになる
  • お客様が資料を利用する。
    → お客様が資料をご利用になる

「読む」は和語なので「お読みになる」、「利用する」は漢語なので「ご利用になる」となります。

3. 特別な尊敬語を使う

よく出る動詞には、専用の尊敬語があります。これは入試でも非常によく出ます。

尊敬語の頻出用例

基本の動詞 尊敬語
する なさる、される
言う おっしゃる
行く いらっしゃる、おいでになる
来る いらっしゃる、お越しになる
いる いらっしゃる、おいでになる
食べる・飲む 召し上がる
見る ご覧になる
聞く お聞きになる
会う お会いになる
知っている ご存じだ
読む お読みになる
くれる くださる

実際の文で確認してみましょう。

  • 先生が言う。
    → 先生がおっしゃる
  • 校長先生が昼食を食べる。
    → 校長先生が昼食を召し上がる
  • お客様が作品を見る。
    → お客様が作品をご覧になる

謙譲語とは何か

自分側の動作を低くして、相手を高める言葉

謙譲語は、敬語の中で一番まちがえやすいところです。

謙譲語は、自分や自分の身内の動作を低く表すことで、相手を高める言葉です。

ここでも大切なのは、主語です。

謙譲語の主語は、基本的に自分側の人です。

自分、家族、自分の学校、自分の会社などは「自分側」と考えます。

たとえば、次のような文を見てみましょう。

  • 私が先生に話す。
  • 私が校長先生に会う。
  • 母が先生に連絡する。

このように、自分側の人が動作をしていて、その相手が目上の人である場合、謙譲語を使います。

尊敬語と謙譲語の違い

尊敬語は、相手の動作を高めます。

  • 先生がおっしゃる
  • 先生がご覧になる

謙譲語は、自分側の動作を低くします。

  • 私が申し上げる
  • 私が拝見する

つまり、相手の動作を高めるのが尊敬語自分側の動作を低くするのが謙譲語です。

この区別が、入試ではとても重要です。

たとえば、次の文は誤りです。

先生が申された。

「申す」は謙譲語なので、先生の動作には使いません。

正しくは、次のようになります。

先生がおっしゃった。

謙譲語の作り方

謙譲語には、主に2つの作り方があります。

1. 「お・ご」+動詞+「する・いたす」

例を見てみましょう。

  • 私が先生にプリントを渡す。
    → 私が先生にプリントをお渡しする
  • 私が先生に連絡する。
    → 私が先生にご連絡する
    → 私が先生にご連絡いたします

「いたす」は「する」の謙譲語なので、より丁寧な表現になります。

2. 特別な謙譲語を使う

謙譲語にも、専用の言い方があります。これも入試でよく出ます。

謙譲語の頻出用例

基本の動詞 謙譲語
する いたす
言う 申す、申し上げる
行く うかがう、参る
来る 参る
いる おる
食べる・飲む いただく
見る 拝見する
聞く うかがう、拝聴する
会う お目にかかる
知っている 存じる、存じ上げる
読む 拝読する
もらう いただく、頂戴する
あげる 差し上げる

実際の文で確認してみましょう。

  • 私が先生に意見を言う。
    → 私が先生に意見を申し上げる
  • 私が校長先生に会う。
    → 私が校長先生にお目にかかる
  • 私が先生の作品を見る。
    → 私が先生の作品を拝見する
  • 私が先生から資料をもらう。
    → 私が先生から資料をいただく

丁寧語とは何か

文全体を丁寧にする言葉

丁寧語は、文全体を丁寧にする言葉です。

尊敬語や謙譲語のように、「誰の動作か」を強く意識する必要はありません。

丁寧語は、話し手が聞き手に対して、ていねいに話すときに使います。

基本は、次の3つです。

  • です
  • ます
  • ございます

丁寧語の使い方

1. 文末を「です・ます」にする

例を見てみましょう。

  • 明日は晴れると思う。
    → 明日は晴れると思います
  • こちらが本日の課題だ。
    → こちらが本日の課題です

2. 「ある」を「ございます」にする

例を見てみましょう。

  • 図書室は2階にあります。
    → 図書室は2階にございます
  • こちらに資料があります。
    → こちらに資料がございます

「ございます」は、「あります」をさらに丁寧にした表現です。

丁寧語の頻出用例

基本の言い方 丁寧語
する します
言う 言います
行く 行きます
来る 来ます
いる います
食べる 食べます
飲む 飲みます
見る 見ます
聞く 聞きます
会う 会います
知っている 知っています
分かる 分かります
ある あります、ございます

実際の文で確認してみましょう。

  • 私は図書室へ行く。
    → 私は図書室へ行きます
  • 先生の話を聞く。
    → 先生の話を聞きます
  • こちらに席がある。
    → こちらに席がございます

美化語とは何か

言葉を上品に整える表現

美化語は、言葉の頭に「お」や「ご」をつけて、表現を上品にする言葉です。

尊敬語や謙譲語のように、相手や自分の動作を上下させるものではありません。言葉そのものを丁寧に整える表現です。

美化語の用例

普通の言い方 美化語
お茶
菓子 お菓子
お金
手洗い お手洗い
ご飯
祝儀 ご祝儀
住所 ご住所
名前 お名前

実際の文で確認してみましょう。

  • お茶を飲む。
  • ご飯を食べる。
  • お手洗いに行く。
  • ご住所を記入してください。

ただし、何にでも「お」や「ご」をつければよいわけではありません。不自然な表現にならないように注意しましょう。

入試で点を取るためのチェックポイント

敬語の問題では、次の順番で考えると解きやすくなります。

1. まず主語を確認する

最初に見るべきなのは、動作をしている人です。

たとえば、次の文を見てみましょう。

先生が言う。

主語は「先生」です。先生の動作なので、尊敬語を使います。

先生がおっしゃる。

では、次の文はどうでしょうか。

私が先生に言う。

主語は「私」です。自分の動作なので、謙譲語を使います。

私が先生に申し上げる。

2. 尊敬語と謙譲語を逆にしない

入試では、尊敬語と謙譲語を逆に使わせる問題がよく出ます。

次の文は誤りです。

先生が申された。

「申す」は謙譲語なので、先生の動作には使えません。

正しくは、次のようになります。

先生がおっしゃった。

3. 二重敬語に注意する

二重敬語とは、同じ種類の敬語を一つの言葉に重ねてしまうことです。

次の文は誤りです。

先生がおっしゃられる。

「おっしゃる」だけで尊敬語です。そこに「られる」を重ねているので、二重敬語になります。

正しくは、次のようになります。

先生がおっしゃる。

ほかにも、次の表現は二重敬語です。

ご覧になられる

正しくは、次のようになります。

ご覧になる

面接でも使える敬語

敬語は国語のテストだけでなく、高校受験の面接でも役立ちます。

たとえば、面接で次のように聞かれたとします。

中学校では部活動をしていましたか。

この場合、次の答え方でも間違いではありません。

はい、吹奏楽部に所属していました。

さらに丁寧に言うなら、次のようになります。

はい、吹奏楽部に所属しておりました。

「おりました」は「いる」の謙譲語です。自分のことを少しへりくだって言う表現なので、面接では落ち着いた印象になります。

まとめ:敬語は「誰の動作か」を見れば解ける

敬語の基本は、次の3つです。

  • 尊敬語は、相手や目上の人の動作を高める言葉です。
  • 謙譲語は、自分側の動作を低くして、相手を高める言葉です。
  • 丁寧語は、文全体を丁寧にする言葉です。

例で確認すると、次のようになります。

  • 先生がおっしゃる。先生がご覧になる。
    → 尊敬語
  • 私が申し上げる。私が拝見する。
    → 謙譲語
  • 行きます。あります。ございます。
    → 丁寧語

敬語の問題では、まず主語を確認しましょう。

  • 先生の動作なら、尊敬語。
  • 自分側の動作なら、謙譲語。
  • 文を丁寧にするだけなら、丁寧語。

この判断ができれば、敬語は入試で得点源にできます。まずは、尊敬語と謙譲語のよく出る形から覚えていきましょう。