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中学生

食塩水の濃度の難問は公式通りに解くと解きやすい

方程式の文章問題で食塩水の濃度に関するものには、難問がいくつもあります。

一見すると難しそうで、どのように解いたらよいか悩みそうですが、実は、食塩水の濃度の公式を考え方の中心にすえると、すらすら解くことができます。

それでは実際に、下の問題を解いてみましょう。愛知県の私立高校である東海高校の数学の入試問題です。私立東海高校は、愛知県で最も難しい高校で偏差値は73です。毎年東京大学に30名前後、京都大学に40名前後合格しています。

問い

容器Aには300g、容器Bには200gの食塩水が入っている。容器Bに入っている食塩水の濃度は10%である。Aから100gの食塩水をとり、Bに入れてよくかき混ぜてから100gの食塩水をとってAに戻すとき、Aに入っている食塩水の濃度は24%になった。このとき最初にAに入っていた食塩水の濃度は何%か。

この問題を解く手順と解き方を以下に示します。

1 食塩水の公式を書き出す。

食塩水の濃度の問題は、最初に公式を書き出し、その公式に数字をあてはめます。

公式は下の2種類があります。

(1)$\frac{食塩の量}{食塩水の量}\times 100=食塩水の濃度$

(2)$\frac{食塩水の濃度}{100}\times 食塩水の量=食塩の量$

教科書の練習問題程度の易しい問題であれば(1)、難問であれば(2)の式を使うとほぼうまくいきます。ここでも(2)の式を使います。それでは、実際に数字をあてはめてみましょう。あてはめる数字は、最終的にできあがったAの容器の食塩水に関するものです。

また、方程式の文章問題は、文章の最後である、結果の部分を方程式にすると解きやすくなります。この問題なら、「Aに入っている食塩水の濃度は24%になった」の部分です。Aの容器から食塩水100gをくみ出し、また100gをAの容器に戻すので、Aの最終的な食塩水の量は300gになります。それで24%と300gを公式にあてはめると下のようになります。

$$\frac{24}{100}\times 300=食塩の量$$

Aに最初に入っていた食塩水の濃度を求める問題なのですが、求めたい濃度からは思い切り遠く離れて、Aの食塩水に含まれている食塩の量に注目します。

なぜかというと、最終的にそのようになった結果の部分からさかのぼっていった方が、迷路に迷うことなく、筋道立てて考えやすいからです。

最終的には、Aの容器に含まれている食塩の量は、$\frac{24}{100}\times 300=72$ gになります。

2 食塩の量の変化についての方程式を作る

方程式の文章問題を解くとき、重要なのが食塩の量に注目するというものです。食塩水の量ではなく、濃度でもなく、食塩の量にこだわります。

この問いでは、Aからどれだけの量の食塩がBに移り、Bからどれだけの量の食塩がAに戻ったかを考えます。

Aの容器の初めの濃度は分からないので、この濃度を$x$ %とします。濃度$x$ %で300gですから、Aの容器の最初の食塩水300gには$\frac{x}{100}\times 300=3x$ gだけ入っていることになります。300gのうち100gを容器Bに移すので、移動する食塩の量は$3x$ gのうち$x$ gになります。

するとBの容器の食塩の量はどうなるでしょうか。Bの容器には初め、$\frac{10}{100}\times 200=20$ gだけ食塩が含まれています。そこAから$x$ gだけ入るので、$x+20$ gになります。この時点で容器Bには食塩水が300g、食塩が$x+20$ gあるわけです。

次に、Bの容器から100gの食塩水をAの容器に戻すとき、移動する食塩の量を考えてみましょう。300gのうち100g、すなわち$\frac{1}{3}$戻るわけですから、食塩の量も$x+20$ gの$\frac{1}{3}$である、$\frac{x+20}{3}$だけ戻ります。

最終的にAの容器に入っている食塩の量は、Aの容器200gに溶けている$2x$ gとBの容器から移された$\frac{x+20}{3}$ gの合計になります。すなわち、$2x+\frac{x+20}{3}$となります。これがAの容器内に含まれている最終的な食塩の量72gになるので、方程式は以下のようになります。

$$2x+\frac{x+20}{3}=72$$

これを解いて、$x=28$、答えは28%となります。