基礎学力が高い中学1年生や2年生の最も効果的な学習プランは、高校入試問題を解くことです。
理解した学習内容の定着(長期記憶化)は、アウトプットによって効率よく達成されます。
ここでアウトプットについて説明します。学習にはインプットとアウトプットの2種類があります。
インプットは、言葉の意味としては「入力」です。すなわち、学習内容を頭に入力することです。これは、教科書やテキストに書かれた内容を理解し、覚えることです。また、数学ならば、問題の解法を理解し、自力で解けるようにすることです。
アウトプットは、「出力」です。頭の中に蓄えた学習内容を外に出すことです。これは自分が学習内容をどの程度覚えているか、数学ならば問題の解法が身についているか、それらを問題演習によって確認することです。
学習におけるインプットとアウトプットですが、多くの生徒が、インプットである学習内容の理解と暗記をしっかり行ってから、アウトプットである問題演習に取り組んでいます。小学校や中学校の授業の進展も、理解であるインプットのあとにアウトプットである問題演習となっています。
けれども、小学校や中学校の教科学習がインプットを終えてからアウトプットに移るという流れになっているのは、学習効果の高いやり方だからというわけではありません。
本来は、効果的であり、効率も良い学習は、インプットとアウトプットを並行して行うやり方です。学習内容を理解し、覚えることであるインプットと問題演習であるアウトプットを並行して行うのです。並行して行うというのは、学習内容の理解と定着が不十分な状態のままでも、問題演習にとりかかるということです。
この方法が良いとされるのには理由があります。人間の脳というのは、「インプット=学習内容を覚えること」よりも、「アウトプット=覚えた学習内容を思い出すこと」のほうが、長く記憶に留めておくことができるのです。すなわち、社会の重要項目や英単語などを5回ほど読んで暗記して終わりにするよりも、3回読んで暗記し、その後すぐに暗記したことを思い出すことのほうが、長い期間覚えていられるのです。学習のやり方でいえば、理科や社会や英語ならば、ある程度理解し暗記したら、すぐに確認テストを行い、たった今学んだことを思い出そうとすることです。数学ならば、問題が解けるようになったら、その後すぐに類題を解くことです。こうしたアウトプットは、長い期間覚えていられるだけでなく、学習したことがらや知識を整理し、体系化し、学習内容の理解を深める効果もあります。
それではなぜ小学校や中学校がインプットとアウトプットを並行させる教科学習を行わないのかというと、これにも理由があります。それは、小学校や中学校の授業の形態が、1人ないし2人の教師が30名以上の生徒に対して一斉形式で知識の教授を行うからです。
インプットとアウトプットの並行学習では、ある程度インプットが達成してからアウトプットを行わなければなりません。インプットがかなり不十分、すなわち頭の中に学習内容が入っていない状態ではアウトプットのしようがありません。そして、インプットにかかる時間は個人差があります。一斉授業でインプットとアウトプットを並行して行えば、インプットができないままアウトプットに臨み、学習内容を何1つ定着させることのできない生徒らがつくられてしまいます。それを避けるために、インプットを行ってから、アウトプットを行い、そしてそのアウトプットを家庭学習や中間テストや期末テストのためのテスト勉強とすることで、学習の進度が全ての生徒で同じになるように調整しているのです。
ですから、効果的、かつ効率の良い学習をしたいのであれば、インプットを完成させてからアウトプットに移るのではなく、「インプット=学習内容の理解と暗記」をある程度まで行ったら、積極的に「アウトプット=問題演習・確認テスト」を行うことが重要です。そして、このインプットとアウトプットを並行して行う学習方法は、生徒1人1人の学力に合わせて授業を進めていく個別指導形式の学習塾でよく実践されています。