中学生のための「勉強の動かし方」
五教科に共通する、読む・隠す・出す・直す・残す技術
勉強がうまくいかない原因は、やる気だけではありません。
「何を開くか」
「どう覚えるか」
「間違えたあとに何をするか」
「次の日に何を残すか」
こうした勉強の動かし方が決まっていないために、手が止まることがあります。
このページでは、英語・数学・国語・理科・社会の五教科すべてに共通する、基本的な勉強の進め方をまとめます。教科ごとの細かいテクニックではなく、どの教科でも使える土台の部分です。
読む。
隠す。
出す。
直す。
残す。
この五つができるようになると、勉強はかなり進めやすくなります。
このページで分かること
このページでは、次のようなことを扱います。
- 勉強前に、机の上をどう整えるか
- 勉強を始める最初の5分をどう作るか
- 読むだけで終わらせない方法
- 暗記を「隠して出す」作業に変える方法
- 問題を〇△×で分ける方法
- 間違い直しを点数につなげる方法
- 次の日に続く終わり方
すべてを一度に完璧にやる必要はありません。まずは、自分に必要なところから読んでください。
1. 勉強前に「視界」を絞る
今やる教材だけが目に入る状態を作る
勉強を始める前に、最初にやることは気合いを入れることではありません。まず、机の上を「今やることだけが目に入る状態」にします。
人は、目に入ったものに引っぱられます。スマホが見えればスマホが気になります。別の教科のワークが見えれば、「あれもやらなきゃ」と思います。プリントの山が見えれば、どこから手をつければよいか分からなくなります。
つまり、机の上が散らかっていると、勉強を始める前から頭の中が散らかります。
大事なのは、机を美しく片づけることではありません。今やる教材だけが目に入るようにすることです。
英語をやるなら英語の教材を一つだけ置く。数学をやるなら数学のワークとノートだけを置く。理科や社会をやるなら、今見るページだけを開く。
スマホは机の上に置きません。「見ないようにする」のではなく、最初から見えない場所に置きます。手を伸ばせば届く場所ではなく、立ち上がらないと取れない場所に置きます。
うまくできている状態は、イスに座ったとき、最初に今日やるページが目に入る状態です。スマホが見えず、別の教科の教材も開かれていない。その状態になっていれば、勉強を始める準備はできています。
2. 最初の5分は小さく始める
最初から大きな成果を出そうとしない
勉強が始まらない原因の一つは、最初から大きく始めようとすることです。
「1時間やらなきゃ」
「ワークを何ページも進めなきゃ」
「難しい問題を解かなきゃ」
そう考えると、始める前に重くなります。
だから、最初の5分は勉強の本番ではなく、始動の時間だと考えます。最初から成果を出そうとしなくてよいです。まず、手が動く状態を作ります。
英語なら、単語を数語見る。数学なら、問題文と式を一行だけ写す。国語なら、本文を一段落だけ読む。理科なら、図を一つ見る。社会なら、用語を三つノートに書く。
これだけでもかまいません。
大事なのは、ノートや教材に何か跡を残すことです。日付を書く。ページ番号を書く。問題番号を書く。単語に印をつける。本文に線を引く。用語を一つ書く。
5分後に、紙の上に何か残っていれば、始動は成功です。
反対に、5分たってもまだ何をやるか考えている。教材を開いたまま眺めている。ノートに何も残っていない。この状態なら、作業が大きすぎます。
「1問解く」が重ければ、「式を写す」だけにする。
「本文を読む」が重ければ、「最初の一文に線を引く」だけにする。
「暗記する」が重ければ、「一語だけ隠して言う」だけにする。
勉強は、小さく始めてよいのです。
3. 読むだけで終わらせない
読んだら、必ず何かを紙に残す
勉強では「読む」ことが多くあります。教科書を読む。問題文を読む。解説を読む。本文を読む。ノートを読む。
しかし、ただ読んだだけでは、何が頭に残ったか分かりません。読んだつもりになっても、あとで何も出てこないことがあります。
だから、読む作業では、読んだあとに何かを残します。
線を引く。
丸で囲む。
短く書く。
矢印を書く。
一行だけ写す。
分からないところに「?」を書く。
読むことの目的は、目で文字を追うことではありません。あとで使える形に変えることです。
たとえば、説明文なら「何について説明しているか」を一行で書きます。問題文なら「何を求めるのか」に線を引きます。本文なら、接続詞や指示語、結論になりそうな文に印をつけます。図や表なら、題名と単位を確認します。
読んだあとに何も残っていなければ、まだ勉強になっていません。反対に、線、丸、矢印、一行メモ、問題番号、×印が残っていれば、読んだ内容が外に出ています。
読むだけで終わらせない。これが、五教科すべてに共通する基本です。
4. 覚えるとは「隠して出せる」こと
見て分かるだけでは、まだ覚えたとは言えない
暗記で一番多い失敗は、「見て分かる」を「覚えた」と思ってしまうことです。
英単語を見れば意味が分かる。社会の用語を見れば聞いたことがある。理科の語句を見れば分かる気がする。数学の公式を見れば使えそうに見える。
でも、テストでは答えは見えません。だから、見て分かるだけでは足りません。
暗記の基本は、
見る → 隠す → 出す → 戻して比べる
です。
英単語なら、日本語を隠して意味を言う。漢字なら、手本を隠して書く。理科や社会なら、説明を隠して用語を言う。数学なら、公式を隠して書く。国語なら、語句の意味を隠して説明する。
出せたものは、今すぐ何度も見る必要はありません。出せなかったものに印をつけます。迷ったものにも印をつけます。
暗記で大事なのは、できるものを長く眺めることではありません。出せないものを見えるようにすることです。
見ながら言えたものは、まだ確認です。隠して言えたものが、暗記です。見ながら書けたものは、まだ写しです。隠して書けたものが、暗記です。
「覚えたかどうか」は気分で決めません。隠して出せたかどうかで判断します。
5. 問題演習は〇△×で分ける
解いたあとに、自分の状態を見えるようにする
問題を解く目的は、正解することだけではありません。自分の状態を分けることです。
すぐできる問題。
時間をかければできる問題。
解説を見ないとできない問題。
何をしていいか分からない問題。
これらを同じように扱うと、勉強時間がうまく使えません。できる問題ばかり何度もやって、できない問題が残ることがあります。
だから、問題演習では、解いたあとに印をつけます。
すぐ解けて、答えも合っていたら〇。答えは合ったけれど迷った問題は△。答えが違った、解けなかった、解説を見ないと分からなかった問題は×。
この印は、先生に見せるためのものではありません。自分が次に何をすればよいかを知るための印です。
〇は、今すぐ優先しなくてよい問題。
△は、もう一度やれば〇に近づく問題。
×は、次の日にも残す問題。
特に大事なのは△です。△は、完全に分からないわけではありません。でも、テストで出たら危ない。少し条件が変わると落ちる。時間がかかる。説明できない。
だから、△は放置しません。もう一度やって、〇に近づけるか、×として扱うかを決めます。
問題演習は、解いて終わりではありません。分けて終わりです。
6. 間違い直しは、答えを写すことではない
どこでずれたかを見える形にする
間違い直しで一番もったいないのは、正しい答えだけを赤で写して終わることです。
答えを写すと、直した気分になります。でも、次に同じ問題を解けるとは限りません。
必要なのは、正解を写すことではありません。自分がどこでずれたかを見つけることです。
数字を間違えたのか。
符号を間違えたのか。
問題文の条件を読み落としたのか。
用語を知らなかったのか。
考え方の最初から違っていたのか。
答え方の形式を間違えたのか。
これを見える形にします。
間違えた答えは、すぐに消さない方がよいです。まず、間違えた場所に印をつけます。
数字のミスなら数字に丸をつける。符号のミスなら符号に丸をつける。問題文の読み落としなら、その条件に線を引く。考え方が違っていたなら、解説の最初の一行をノートに写す。
そのあと、同じ問題をもう一度やります。
間違い直しが終わったかどうかは、赤で正しい答えが書いてあるかでは決まりません。
どこで間違えたか。
何が原因だったか。
もう一度やった跡があるか。
この三つが残っていれば、間違い直しになっています。
7. 白紙に戻す
分かったつもりを点検する
教科書を読んでいると、分かった気がします。解説を見ていると、できる気がします。ノートを眺めていると、覚えている気がします。
でも、テストでは何も見えません。
だから、勉強のどこかで一度、白紙に戻す必要があります。
白紙に戻すとは、何も見ずに、覚えていることを紙に出すことです。きれいなまとめを作る作業ではありません。自分の中に何が残っていて、何が残っていないかを見る作業です。
教科書やノートを見ます。見出し、太字、公式、図、表、問題の流れを見ます。そのあと、いったん閉じます。
白紙を出します。覚えている語句を書きます。図を描けるなら描きます。式を書けるなら書きます。出来事の流れを書けるなら矢印でつなぎます。
途中で止まっても、すぐに教材を開かず、思い出せない場所には「?」を書きます。
そのあと教材を開きます。足りなかったものを赤で足します。間違っていたものを青で直します。
白紙再現では、きれいに書けたかどうかは重要ではありません。重要なのは、見ないで何が出たかです。
語句だけでもよい。図だけでもよい。式の一部だけでもよい。流れの矢印だけでもよい。「?」だけでも、何も出ないよりはよいです。
8. 勉強の終わり方
次の日の入口を残す
勉強は、始め方だけでなく、終わり方も大事です。
終わるときに何も残さないと、次の日にまた迷います。どこから始めればよいか分からなくなります。何が残っていたか忘れます。
だから、勉強の最後には、必ず次の日の入口を残します。
入口とは、次に見るページ、次に解く問題、残った×、もう一度出す語句のことです。
最後の5分で、今日やったページを見ます。印をつけたところを見ます。残った×を見ます。次にやるページを決めます。
付箋を貼ります。ノートに「次はここから」と書きます。残った×があれば、問題番号や語句だけを書きます。
大事なのは、明日の自分が迷わないことです。
明日、机に座ってからページを探すなら、終わり方が弱い。明日、何をやるか考え直すなら、終わり方が弱い。明日、付箋のページを開けば始められるなら、終わり方がよい。
勉強の終わりは、今日の終わりではありません。明日の始まりを作る時間です。
9. このページのまとめ
勉強がうまくいかないとき、必要なのは気合いだけではありません。勉強の動かし方を決めることです。
視界を絞る。
小さく始める。
読んだら残す。
隠して出す。
〇△×で分ける。
間違えた場所を残す。
白紙に戻す。
次の日の入口を作る。
この流れができると、勉強は進めやすくなります。
勉強とは、ただ机に向かうことではありません。自分の分からない場所を、見える形にしていく作業です。
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