中学生の国語 表現技法まとめ
中学生の国語 表現技法まとめ
直喩・隠喩・体言止め・倒置法・擬人法・対句法・反復法・省略法
国語の詩、短歌、俳句、小説文では、表現技法を問う問題がよく出ます。表現技法というと、名前だけを暗記するもののように見えるかもしれません。しかし本当は、作者が「どんな感じを出すために、その言い方を選んだのか」を見るための道具です。
たとえば、ただ「風が吹いた」と書くのと、「風が窓をたたいた」と書くのでは、読み手に伝わる感じが違います。後者では、風がまるで人間のように窓をたたいているように感じられます。このように、同じ内容でも言い方を少し変えるだけで、文章の印象は大きく変わります。
中学生がまず押さえておきたい表現技法は、直喩、隠喩、擬人法、体言止め、倒置法、対句法、繰り返し、つまり反復法、省略法です。これらは、知っていれば解ける問題が多い分野です。逆に言えば、知らないままにしておくと、文章は読めているのに点を落としてしまうことがあります。
表現技法は、名前と効果をセットで覚える
表現技法を勉強するときは、「これは直喩」「これは体言止め」と名前だけを覚えるのでは不十分です。入試では、「この表現技法を答えなさい」と聞かれることもありますが、「この表現にはどのような効果があるか」と聞かれることもあります。
そのため、表現技法は、名前、見分け方、効果の三つをセットで覚えるのがよいです。直喩なら、「ような」「ように」などを使ってたとえる表現。効果は、様子を具体的にイメージしやすくすること。倒置法なら、普通の語順を入れ替える表現。効果は、文末に置いた言葉を強調すること。こういう形で覚えると、問題に対応しやすくなります。
| 表現技法 | 見分け方 | 主な効果 |
|---|---|---|
| 直喩 | 「ような」「ように」「ごとく」などを使ってたとえる | 様子をわかりやすく、具体的に伝える |
| 隠喩 | 「ような」などを使わずに、別のものにたとえる | 印象を強め、余韻を出す |
| 擬人法 | 人間でないものを、人間のように表す | ものや自然を生き生きと感じさせる |
| 体言止め | 文の終わりが名詞で止まる | 印象を強め、余韻を残す |
| 倒置法 | 普通の語順を入れ替える | 後ろに置いた言葉を強調する |
| 対句法 | 似た形の言葉や文を並べる | リズムを作り、内容を対比させる |
| 反復法 | 同じ言葉を繰り返す | 意味や感情を強調する |
| 省略法 | 本来あるはずの言葉をあえて省く | 余韻を残し、読み手に想像させる |
直喩と隠喩 – たとえの基本
比喩とは、あるものを別のものにたとえて表す表現です。その中でも、中学生が特に覚えておきたいのが直喩と隠喩です。
直喩は、「ような」「ように」「ごとく」「ごとし」などの言葉を使って、はっきりたとえる表現です。たとえば、「子犬のように甘える」は、甘える様子を子犬にたとえています。「雪のように白い肌」は、白さを雪にたとえています。たとえであることが表面に出ているので、見分けやすい表現技法です。
隠喩は、「ような」「ように」などを使わずに、たとえを表す言い方です。たとえば、「ガラスの心」は、心が本当にガラスでできているわけではありません。壊れやすく、傷つきやすい心を、ガラスにたとえています。「彼は教室の太陽だ」と言えば、その人が本当に太陽であるはずはありません。周囲を明るくする存在だという意味です。
直喩は、たとえがわかりやすい。隠喩は、たとえが直接書かれていない分、印象が強くなりやすい。この違いを押さえておくと、詩や小説の表現を読むときに役立ちます。
擬人法 – 人間でないものを人間のように表す
擬人法は、人間ではないものを、人間のように表す技法です。自然、動物、物、時間、季節などを、人間のように動かしたり、感じさせたりします。
たとえば、「風がやさしく話しかける」という表現では、風が本当に話すわけではありません。風のやわらかさを、人間が話しかける様子にたとえています。「山が眠っている」も同じです。山が実際に眠るわけではありませんが、静まり返った山の様子を、人が眠っている姿に重ねています。
擬人法は、詩や小説でよく使われます。ものや自然に命があるように感じさせ、文章を生き生きとさせる効果があります。ただし、擬人法も比喩の一種です。比喩の中でも、特に「人間にたとえている」ものが擬人法だと考えるとわかりやすいです。
体言止め – 名詞で止めて余韻を残す
体言止めは、文や句の終わりを名詞で止める表現技法です。体言とは、名詞や代名詞などのことです。中学生向けには、「名詞で終わる表現」と覚えておけばよいでしょう。
たとえば、「冬の朝、白く光る校庭。」という文は、「校庭」という名詞で終わっています。普通の文章なら、「冬の朝、校庭が白く光っている。」と書くこともできます。しかし、あえて名詞で止めることで、景色だけが読み手の前に残るような感じが出ます。
「誰もいない教室。」「夕焼けに染まる海。」「胸の奥に残った一言。」こうした表現は、説明しすぎず、読み手に余韻を残します。詩、短歌、俳句でよく使われるのは、この余韻の効果があるからです。
倒置法 – 語順を入れ替えて強調する
倒置法は、普通の語順を入れ替える表現技法です。ふつうなら「平和な日々が、この村にもようやく訪れた」と言うところを、「この村にもようやく訪れた、平和な日々が」と言えば、語順が入れ替わっています。これが倒置法です。
倒置法では、後ろに置かれた言葉が強く印象に残ります。「この村にもようやく訪れた、平和な日々が。」では、最後の「平和な日々」が強調されます。「何を見ているのだ、君は。」なら、最後の「君は」が強く響きます。
倒置法を見分けるときは、「普通の語順に直せるか」を考えるとよいです。語順を普通に戻したときに自然な文になるなら、倒置法である可能性が高いです。
対句法 – 似た形を並べてリズムを作る
対句法は、似た形の言葉や文を並べる表現技法です。反対の意味を持つ言葉を並べることもあれば、似た意味や対応する形の言葉を並べることもあります。
たとえば、「高くそびえる山、低く広がる野原」という表現では、「高く」と「低く」、「山」と「野原」が対応しています。「瞳には希望が光り、口元には笑みが浮かぶ」では、「瞳には」と「口元には」、「希望が光り」と「笑みが浮かぶ」が似た形で並んでいます。
対句法は、文章にリズムを作ります。また、二つのものを比べたり、対応させたりする効果があります。詩や漢詩、短歌だけでなく、説明文や演説のような文章でも使われます。
反復法 – 繰り返して強調する
反復法は、同じ言葉や似た言葉を繰り返す表現です。繰り返しとも言います。英語ではリフレインと呼ばれることもあります。
たとえば、「走れ、走れ、風より速く」という表現では、「走れ」が繰り返されています。「遠くへ、もっと遠くへ」という表現では、「遠くへ」が繰り返され、行きたい気持ちが強く伝わります。
反復法の効果は強調です。同じ言葉を繰り返すことで、感情の強さや、リズム、印象の強さを出します。詩では特によく使われます。
省略法 – あえて書かずに想像させる
省略法は、本来なら書かれるはずの言葉を、あえて省く表現技法です。言葉をすべて説明しきらないことで、余韻を残したり、読み手に想像させたりします。
たとえば、「雨の校庭。ぬれた靴。誰も来ない昇降口。」という表現では、普通の文章にすれば、「雨が降っている校庭があり、靴がぬれていて、昇降口には誰も来ない」と説明できます。しかし、あえて短い言葉を並べることで、静かな雰囲気やさびしさが伝わります。
省略法では、「何が省かれているのか」を考えると理解しやすくなります。ただし、入試では、省略されている言葉を厳密に補うよりも、「言葉を省くことで、どんな感じが出ているか」を問われることがあります。
表現技法を見つけるコツ
表現技法の問題を解くときは、あわてて名前を答えようとするより、まず表現の形を見ます。「ような」「ように」があれば直喩を疑います。人間でないものが、話す、眠る、笑う、歩くなどの人間らしい動作をしていれば擬人法を疑います。文の終わりが名詞で止まっていれば体言止めです。語順が不自然に入れ替わっていて、普通の語順に戻せるなら倒置法です。同じ言葉が繰り返されていれば反復法です。似た形の文や言葉が並んでいれば対句法です。
このように、表現技法は形から見つけることができます。まず形で見つけ、次に効果を考える。この順番が大切です。
見分け方の基本
「ような」「ように」などがある – 直喩
「ような」なしで別のものにたとえる – 隠喩
人間でないものが人間のように動く – 擬人法
名詞で終わる – 体言止め
語順が入れ替わっている – 倒置法
似た形の表現が並ぶ – 対句法
同じ言葉が繰り返される – 反復法
あるはずの言葉が省かれている – 省略法
表現技法は、暗記だけでなく例文で覚える
表現技法は、名前だけを暗記してもなかなか使える知識になりません。必ず例文と一緒に覚えることが大切です。たとえば、直喩なら「雪のように白い」、隠喩なら「教室の太陽」、擬人法なら「風が笑う」、体言止めなら「夕暮れの校庭」、倒置法なら「聞こえてきた、遠くから祭りの太鼓が」というように、自分なりの例文を作っておくとよいです。
自分で例文を作れるようになると、表現技法の理解はかなり安定します。なぜなら、技法の形だけでなく、その働きまでわかっていることになるからです。
入試では、効果まで答えられるようにする
表現技法の問題では、「この表現技法を何というか」と聞かれるだけではありません。「この表現にはどのような効果があるか」と聞かれることがあります。ここで大切なのは、どの表現技法にも共通する大まかな効果を覚えておくことです。
比喩は、様子をわかりやすくし、印象を強めます。擬人法は、ものや自然を生き生きと感じさせます。体言止めは、余韻を残します。倒置法は、言葉を強調します。対句法は、リズムや対比を作ります。反復法は、感情や意味を強めます。省略法は、余韻を生み、読み手に想像させます。
もちろん、実際の文章では、作品全体の内容に合わせて答える必要があります。しかし、まずはこの基本を持っておけば、問題に対応しやすくなります。
まとめ
表現技法は、国語の中でも点数に結びつきやすい分野です。なぜなら、知識として覚えていれば解ける問題が多いからです。ただし、名前だけを丸暗記するのではなく、見分け方と効果をセットで覚えることが大切です。
直喩、隠喩、擬人法、体言止め、倒置法、対句法、反復法、省略法。まずはこの八つを確実に押さえてください。そして、それぞれについて、自分で例文を一つ作れるようにしておくとよいです。
表現技法がわかるようになると、詩や短歌、俳句、小説文の読み方が変わります。ただ文章を読むだけでなく、「なぜ作者はこの言い方をしたのか」「この表現によって、どんな印象が生まれているのか」を考えられるようになります。
表現技法は、暗記で終わる知識ではありません。文章の味わいを読み取るための道具です。まずは名前と見分け方を覚え、次に効果を考える。その順番で学習していけば、表現技法の問題は確実に得点源になります。