勉強法

小学生のうちに自分にあった勉強法を身につける

公立中学校に進学する予定である小学生の場合、毎日の家庭学習は、小学校の宿題である算数の計算ドリルや国語の漢字ドリルが中心になると思います。
けれども、これらをしっかりこなしただけでは、中学生になってからの学力の大きな伸びは期待できません。
小学生のときにはドリルぐらいしか勉強をしなかったけれども、中学校での成績は学年でかなり上位にいるという人もいます。そういった人は、本を読むのが好きであるとか、日常生活のさまざまなことに知的興味があって、見聞きしたことにいろいろと考えをめぐらす性格であるとかのことが多いです。
それでは、読書が特に好きというわけでもなく、さまざまなことがらに知的興味を持つといった性格でもない子どもが、中学生になってからの学力の大きな伸び ――学力が上位である県立高校に進学できるような学力の獲得 ―― は、どうすれば可能なのでしょうか?多くの人が、算数の計算力、応用問題を解く力、国語の読解力、理科や社会では暗記力を身につけることだと考えるでしょう。確かにその通りです。これらの力を小学生の段階である程度高めておけば有利になるでしょう。
けれども、これらの力よりももっと重要なものがあります。それは自分にあった勉強法を身につけることです。さらに言えば、計算力、応用力、読解力、暗記力がそれほどなくとも、しっかりした勉強法が身についているならば、それで十分なのです。小学生のうちは、学力を高めるよりも勉強法のスキルを高めることのほうが重要なのです。勉強法がしっかりしていれば、日々の学習によって学力は確実に伸びていきます。公立中学校に進学する児童の場合、高校受験まではかなりの時間がありますから、学力を急いで伸ばそうとする必要はありません。
学力が高くとも、いろいろな勉強のやり方や、勉強をするときに心がけなければならないことを知らないでいては、学力が伸び悩むようになります。
それではどんな勉強法を身につければよいかというと、これは非常にたくさんのものがあります。特に重要なものを以下に箇条書きで書きます。
1.家庭では、学習にとりかかる前に、学習の計画と目標をたてる。
家で、これから勉強を開始しようとするとき、どの科目のどんな内容を学習するのかの計画をたてます。たとえば、算数の計算ドリル2ページ、国語の漢字ドリル2ページ、社会の教科書の3ページの音読2回と、その3ページの内容をまとめることなどです。学習計画は、できるだけメモ帳やノートに書き出したほうがよいでしょう。ただし学習計画を詳しく書く必要はありません。「算数計ド2ページ」「国語漢ド2ページ」「社会3ページ音読2回とまとめ」というように手短でかまいません。自分がこれからどんな勉強をやるのか、自分自身に宣言し、勉強へと気持ちを切り替えることが目的ですから。中には、1時間の学習計画をたてるのに15分も時間がかかる子どももいます。すると、親は「そんなに時間がかかるならさっさと取りかかった方がいいよ」と子どもに言ってせき立てることがあります。けれども、学習計画を立てるのは初めは15分かかっても、慣れるに従って3分から5分程度でできるようになります。学習計画を立ててから勉強をするのと、計画を立てずに勉強するのでは、自主的に学ぶ姿勢や集中力に差が出ます。小学生のうちから学習計画を素早く立てて勉強するようにすれば、中学生になってからの学力の伸びに期待ができます。また、社会人になってからの仕事のやり方にもプラスになります。
学習の目標は、今から1時間30分で終わりにするとか、今から30分間勉強をして、夕食を食べたら1時間また勉強をして合計1時間30分で終わらせるとかの目標のことです。この目標は大雑把でかまいませんし、絶対に守らなければならないというものでまおありません。どのくらいの時間で終わらせることができるかは、勉強にとりかかって少し経過しなければ、分からなかったりもします。それでも目標を立てるのは、だらだらした気分で勉強をするのを防ぐため、目標を立てることでやりがいを持つため、目標時間内で終わらせることができたときの達成感や充実感を得るためなどです。また、学習時間を意識することで、自分は、漢字ドリル1ページならば15分で終わらせることができるということを知ることができます。それによって、無理のない、かといって少なすぎる量でもない学習計画が立てられ、学習時間の目標の設定も上手になります。
2.答え合わせは1ページずつ行う。間違えた問題は、すぐに解き直す。
計算ドリルや漢字ドリルで、2ページも3ページも問題を解いたあと、答え合わせをまとめてする子どもがいます。さらにひどいのは、「自信があるから大丈夫だ」と思って、模範解答をしっかり見ないで、マルをどんどんつけていく子どもです。
答え合わせは1ページずつ行いましょう。そして、模範解答と自分の解答を注意深く見比べましょう。そして、間違った問題については、必ず解き直しをしましょう。
3.ノートの文字や数字は、ノートに丁寧に書く。
ノートに文字や数字を書き殴る子どもが多くいます。書き殴る子の多くは、男子です。女子でもたまにいます。ノートの行に文字や数字を収めて書くようにしましょう。あとでそのノートを使って復習するとき、復習しやすい、見やすいノートになっているかどうかがポイントです。字を書く速度が遅くて、勉強時間がかかるから速く書くために書き殴る人がいますが、算数は、仕方ないとしても、国語は時間がかかろうと丁寧に書くべきです。国語の勉強には、漢字を覚える一面もあるので、書き殴っていては正しい漢字が覚えにくくなります。
4.家に帰ったら、最初に勉強をやる。
家に帰ったら、まずゲームを30分ほどやって、その後で勉強を始めるという子どもは多くいます。勉強を後回しにする習慣がつくと、勉強を夜の遅い時間にやるようになり、勉強が終わらないと睡眠時間を遅らせ、その結果、睡眠不足になることがあります。睡眠時間はきちんと確保し、基本的な生活習慣を身につけることは大切です。ですから、帰宅後は、まず最初に勉強を行い、それが終わってからゲームをやったり本を読んだりするようにしましょう。
5.学校でまだ習っていないことがら、難しい問題にも挑戦する
学校でまだ習っていないから、これは覚えなくていい、こんなに難しい問題は学校ではやらないから挑戦しなくていいと思って、それらを遠ざける子どもがいます。けれどもこうした学習の姿勢は非常にもったいないものです。習ってないことを覚え、難しい問題に挑戦することで、たとえうまくいかなくとも、それらに取り組むだけで賢くなるのです。頭脳を働かせた分だけ、頭脳の働きはよくなるものです。せっかく頭脳を良くするチャンスが訪れたのですから、そのチャンスを生かして、大いに意欲的にチャレンジしましょう。
6.なんでも図や表で表してみる
込み入った内容の文章でも、その文章内容を図化したり、表に整理したり、フローチャートを作成したりすると、理解しやすくなります。理解しやすくなることで、要点が暗記しやすくなります。どのような図や表にするのかは、センスが求められます。センスの良い人は、見やすく、頭にすっと入ってくるような図や表を作成します。
けれども、センスがなくても訓練することで、図や表での表し方は上手になります。最初はなかなかうまくいかなくても、時間がかかってもいいから挑戦しましょう。中学生になる頃にはとても上手にできるようになっています。
そして、文章内容を図や表の形式で整理し、覚えたいことがらを上手に表現する技術が威力を発揮するのは、国語、社会、理科です。国語、理科、社会の家庭学習は、学習内容を図や表で表す技術を身につける練習もしてみましょう。
7.小学生の英語
小学生の場合、学校での英語の授業回数は少ないです。けれども、中学生になって英語を本格的に学習するようになったとき、落ちこぼれてしまわないように、小学生のうちから英語の学習で最も効果的な学習方法を身につけておきましょう。
その学習方法は、音読です。英単語や英文を声に出して読みましょう。英語の学習時間のうち9割を音読にあてると英語が上達すると一般に言われています。仮に10時間の学習時間ならば9時間が音読です。音読は、口と目と耳を使うので暗記に効果的ですし、リスニングの力も鍛えられます。「習うより慣れろ」というのは、効果的な勉強方法の1つですが、英語の音読は、この「習うより慣れろ」のやり方です。英文の主語や動詞の働きについて学ぶのは重要ですが、それらの英語の言葉のきまりは、たくさんの英文に目を通し、それらを音読することで理解しやすくなるのです。

他にもさまざまな勉強方法や、勉強をやるときに気をつけることがあります。小学生が自分で勉強をしながら、それらの勉強方法や、勉強で気をつけることを見つけていき、見つけたものを「勉強ノート」や「勉強メモ」に書き、さらに改良していくとよいでしょう。勉強をするということは、自分にあった勉強方法を見つけ、それらを改良し、確立していくことでもあります。