中学生

3ヶ月間で定期テストの英語の得点が50点あがった勉強法

中学校の定期テスト(中間テストや期末テスト)で英語の得点が大きく伸びた生徒の話をします。

生徒は2人います。城東進学会に、2012年に通っていた中学1年生の男子と、2015年に通っていた中学1年生の男子です。

初めに2012年の中学1年生の男子についてです。勉強をするのが嫌いな生徒でした。中学校の定期テストのときに、中学校の先生に提出するワークブックも答えを写すだけで、自力で解くということは全くしない生徒でした。

城東進学会に入塾したのは、中学1年生の11月です。数学の正負の数や文字式や方程式の計算問題の解き方が分からず、定期テストの成績が低いため、このままではまずいと親が思ったからでした。そして、週に2回、塾に通うようになりました。入塾のときに、2学期の中間テストの成績を聞いたのですが、5教科の合計が230点ほどでした。国語が60点台、理科と社会が50点台、数学と英語が30点台でした。

数学は、中学校では平面図形や立体図形をやっていたのですが、授業でやっていることは無視して、理解できていない、計算問題の解き方を集中的に教えました。90分の授業を丸々、数学の計算問題の演習にあてたので、4回の授業、期間にして2週間で、中学1年生で学習する計算問題はすべてできるようになりました。平面図形や空間図形は期末テストの前に、授業を2回ほど行って、生徒に身につけさせました。期末テストでは数学は70点近い得点をあげることができました。けれども英語は、塾の授業では後回しにしていたので、30点台のままでした。

とりあえず数学は見通しがたったので、塾での授業は英語の学習に力を入れました。毎回の授業で数学は20分ぐらい行い、70分は英語を学習させました。

そして、この学習方法が非常に効果を発揮しました。とはいっても、大変シンプルです。

私は中学生用の英語の例文集で『トータル英文型事典(標準版)』という本を持っています。1995年に出版された古い本です。非常に多くの例文が、基本レベル、標準レベル、発展レベルの三段階に分かれて掲載されています。英語の教科書を出版する会社である「秀文出版」が作成した例文集です。この出版社の英語の教科書は『トータルイングリッシュ』というものでした。ですが、倒産してしまっているので、この会社は今は存在しません。また、この例文集も今は販売されていません。1,000円程度の本なのですが、今でも、amazonの中古やヤフオクで5,000円から10,000円で出品されています。この価格は高すぎるので購入する必要はないと思います。ただし、良本であるから、20年以上前の本でも、今でも取引されるのだなと思たっりします。

この例文集を生徒に筆写させます。要らなくなったコピー用紙に書かせます。英文のみです。日本文は書きません。丁寧な字でゆっくりと書くのがポイントです。書き殴るような字のときは、私はコピー用紙を破ります。怒って破るのではありません。にこにこしながら破ります。生徒もにやりとして、丁寧な字で書き直します。破った紙は家に持ち帰らせます。こうした、紙を破るパフォーマンスを面白く加えつつ、ゆっくりと丁寧な字で書くことを徹底的に意識づけます。

6つの英文を2回ずつ、全部で12個書いたら、英文のルール、文法的なことがらを簡単に説明します。30秒もかからずに説明が終わるような短い説明です。この説明も例文集に載っています。説明が終わったら英文を音読させます。このときは日本文も読ませます。声に出すのが恥ずかしくて嫌がっていたので、音読といっても唇を動かすだけで、声は実際に出さない程度のものでした。この音読は、当然、英文への慣れと暗記が目的なのですが、そういは言いませんでした。暗記が目的というと、緊張してかえって覚えられないからです。それで、眠気防止が目的だと生徒には言いました。他には、「英語を話すと、顔の表情をつくる筋肉で、日本語を話すときとは違う部分の筋肉がよく動くから、外国人みたいに、表情豊かになって、女の子に好かれやすくなる!」ということも言いました。これは全くの嘘ですが、生徒は露ほども疑わず、信じてくれて、一生懸命、呟いていました。(その後、1ヶ月ほどしてから、嘘だと生徒にきちんと言いました。)

音読が終わったら、日本文から英文に訳させました。英訳することができない英文は、3回、丁寧な字で書かせました。そして音読をさせました。

例文集の例文でこれらの作業が終わったら、私が英文を作って、それを使って同じことをさせました。問題集の問題やワークブックの問題は全く解かせませんでした。正しい英文を頭にたくさんストックすることが、本来の正しい英語学習だと何かの本で読んだことがあったので、英語が苦手な生徒には、この生徒のようなことをやってきました。

英単語については、教科書に出てくる英単語を覚えさせました。英文と一緒に覚えるのも、単独で覚えるのも、どちらも良いやり方ですが、このときは単独で暗記させました。ノートの中央に縦線を引き、左側に単語、右側に日本語を書かせ、片方を隠しながら、英語から日本語、日本語から英語に直すのをやらせました。英単語の暗記としては、漢字のように書いて覚えることは全くさせませんでした。手が疲れるだけですし、手が疲れるとやる気もなくなります。1つの単語について数秒間、じっとみつめさせました。脳に映像として焼き付けるようなイメージです。脳に焼き付いた英単語をそのままコピー用紙に書くのです。これも効果がありました。

この単調な作業を延々続けることで、その他の科目についても辛抱強く取り組む姿勢が育まれたようです。理科や数学の勉強でも、問題を解いているときに、いつのまにかぼんやりしているということがなくなりました。

冬休みの間は、冬期講習をとらなかったので、通常授業のみでした。2月の下旬に学年末試験がありましたが、その学年末試験までの3ヶ月間、12回のうち8回か9回、これをやりました。その結果、学年末試験では、2学期期末テストが30点台だったのが90点近くの点数に、約50点あがりました。

この英語の学習法は、東京の塾にいたとき、この例文集を買ったときにやっていて、効果もあったのですが、その後は、このやり方をやるということ自体を忘れてしまい、やっていませんでした。例文集を本棚から見つけ出して、やり方を思い出したのでした。東京の塾の時も効果はありましたが、この50点アップほどではありませんでした。1つは、この中学1年生の英語への適性が高かったことと、東海中学校の試験の問題が難しくなかったためだと思います。

その後は、つまずくこともなく、中学3年生の学年末試験まで、英語成績は70点後半から80点後半の範囲に収まっていました。

数学の方はもっと伸びました。91点でした。90点を超えたことが嬉しかったらしく、同じ部活動の仲間らに数学の点数を自慢したようです。英語も高得点でしたが、そちらは80点台なので言わなかったようです。4月になって、数学の得点の自慢を聞いた同じ部の生徒らが、数人まとめて入塾してくれました。

もう1人の中学1年生の男子は、3学期が始まってすぐに入塾しました。この生徒は、東海南中学校でした。理科と数学は得意で90点台をとり、5教科全体でも400点近くとれるのですが、英語だけが40点台でした。英語を教えて欲しいということで、週に1回、英語を学びに通ってきました。この生徒にたいしても、英文集を使ってのやり方で教えました。基礎学力が高いのですぐにできるようになりました。4回も教えると、不得意科目だったことも忘れるほどのできばえになりました。学年末テストは96点でした。英単語のスペルと、英作文の原点があったきりです。その後は、常に80点後半から90点後半の間でした。高校は、茨城高専に進学しました。

ところで、この生徒は社会の試験の成績も悪かったです。中2の1学期中間と期末テストは、70点に届きませんでした。2学期の中間テストは、テストの1ヶ月も前に、中学校のワークブックをコピーして、範囲になりそうな所を2回解かせました。生徒は嫌がっていましたが、このまま怠けていては、せっかくの能力がもったいないので、厳しめに指導しました。怒鳴ったりはしませんが、「やりな」「とにかくやってみな」と有無を言わさず命令しました。2学期の中間テストの社会の成績は100点でした。100点をとったのは、過去に数学が1回、理科が1回でした。生徒はかなり嬉しそうでした。ミニストップでピザまんを買ってきておごってあげると、声を出して笑いながら受け取り、食べていました。