対話を重視した数学の学習指導

対話を重視した数学の指導

数学が苦手な生徒、平均的な生徒、やや得意な生徒に対しては、対話を重視した学習指導が効果的です。
城東進学会では、対話を重視した学習指導をどのように行うのかを、中学1年生の方程式の文章問題を例にして説明します。
たとえば「A君は家から800m離れた図書館に向かった。はじめは毎分50mの速さで歩き、途中から毎分40mの速さで歩いたら、全体で17分かかった。 毎分50mで歩いた道のりを求めなさい。」という問題を解くとします。
途中で速さが変わる問題は、正しく線分図が書けると解きやすくなります。そこで、生徒に線分図の正しい書き方を最初に教えます。
線分図を書いたら、「速さ×時間=道のり」と「道のり/速さ=時間」と「道のり/時間=速さ」の3種類の公式のうちどれを使えばいいのかを、線分図を参考にしながら生徒に考えてもらいます。生徒がどれか1つを選んだら、なぜそれを選んだのか、その理由を説明してもらいます。これは正しく選べた場合でも、誤った公式を選んだ場合でも説明してもらいます。正しく選んだ場合は、説明によって理解が深まり、誤って選んだ場合は、説明によってその誤りを自ら気づき、思考の軌道修正がなされるからです。
「道のり/速さ=時間」を選んだら、この公式を使って2つの文字式を生徒に作ってもらいます。いきなり方程式を作るのは難しい生徒でも、2つの文字式なら十分に作ることができます。ここでポイントとなるのが道のりを、xと(800-x)のイメージが湧かない生徒には、丁寧に説明します。たとえば40cmのリボンを、片方を10cmにしたら、もう片方は40-10=30cmになるというように、身近なものでイメージをつかみやすくします。
x/50と(800-x)/40の2つの文字式ができたら、これが何を表すのかを質問します。これは数学が苦手な生徒はまごつきますが、「道のり/速さ=時間」を示すと、時間を表す文字式だというのを生徒は理解します。
この2つの文字式を線分図に記入してもらいます。そして2つの文字式、すなわち時間を合わせると17分になることを気づかせます。
それに気づいたら、x/50+(800-x)/40=17という方程式を生徒は自ら作ることができます。

講師が一方的に教えるのではなく、講師は方程式を立てるまでの流れを細かく分け、生徒に要所要所を質問し、生徒が自らも考えるように導きます。これによって生徒は理解が深まります。さらに、アシストを受けながらでも、きちんと答えにたどり着いたことに手応えを感じ、自分でもやればできるという自信を持ちます。そして、粘り強く考え、それによって解けたことによって、知的な満足が得られます。この知的な満足の積み重ねによって、学ぶことが少しずつ好きになります。

対話を重視した、この指導の仕方は、手間も時間もかかります。手間としては、講師が1人で生徒が3人以上では実現がほぼ不可能です。時間としては90分で解く問題の数が少ないです。ですが、急がば回れのことわざもあるように、しっかりと生徒が自ら考えること、粘り強く、論理的に手順を追って考えて解くという、正しい考え方を身につけること、自ら
考えて解けたことでの、勉強に対する自信の芽生えというきわめて大きな収穫があります。